そんなことを思っていると…

いきなり、腕を掴まれた。

驚いてその腕の先を見ると、

そこには、裕が立っていた。

「友…梨亜…」

息を切らしながら、

あたしの名前を呼んでいた。

「な…なんで?」

「なんでって…様子がおかしかったから……」

寒い中…走ってきてくれたの…?

「友梨亜?」

あたしは、また泣いていた。

さっき、あんなに涙をこぼしたのに……

あたしは、嬉しかった。

裕の胸に飛び込みたいと思った。

でも……

「離してっっ!!」

あたしは、そう言ってその手を振り払った。

「ご…ごめん。」

裕は、申し訳なさそうな顔をしていた。

裕は、こんなに優しい。

でも…その無神経な優しさが……

あたしの心を傷つけたんだ。

「ねぇ…裕?別れよ。」


< 18 / 55 >

この作品をシェア

pagetop