あの夜は、寒かったよ。

「えっ……」

「だから、別れよ。」

あたしは、別れるという言葉を強調して言ったよね。

「う…ん。分かった。」

「じゃあね。」

あたしは、冷たくそう言い、

裕に背中を向けた。

「また! 会えるよね…」

小さく、弱々しい声だった。

あたしは、背中を向けながら

「もう、二度と会いたくない。」

そう言って、その場を立ち去った。

裕が…どんなに傷ついていたか、

全く知らずに……

自分が被害者だと、思っていた。

裕…バイバイ。

ゴメン…ね…?
< 19 / 55 >

この作品をシェア

pagetop