本当は……

誕生日なんてどうでもよかった。

でも、明るくしていないと

思い出してしまう。

裕の笑顔、裕の声、裕の優しさ

裕の存在を……

思い出すほど、胸が苦しくなる。

考えないようにしていた。

でも、考えてしまう…。

忘れられない……

「友梨亜~?」

「んあ?」

変な声が出た。

「大丈夫?」

「何が…?」

「裕君のこと。」

「……」

「まだ、納得できてないんじゃない?」

奈津は、肉を焼きながらそう言った。

あたしは、答えられなかった。

「友梨亜…やっぱ、ちゃんと話したら?」

「奈津…」

奈津は、あたしの目を見て微笑んだ。

「ごめん。 やっぱ、無理…」

「どうして?」

「怖い……」

本当のことを聞くのが、怖かった。
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