「泣くんじゃねーよ!」

裕が怒鳴った。

「俺が…わりぃ…みてーじゃん。」

あたしは、黙って涙を拭いた。

でも、止まんない。

「お前、いっつもそうだよな。

いっつもそーやって泣く。」

「…ごめん。でも、止まらないんだもん。」

「聞いていい?」

「うん。」

「なんで、急に別れるとか言ったの?」

「それは……」

裕には、ほかに大事な人がいるから……

「どうして…?」

「彩華…」

「彩華…? 意味不明。」

「だから!彩華って人が好きなんでしょ!」

「はあ?彩華は…幼馴染だよ!!」

「幼馴染…?」

「そう。だから、誕生日だって覚えてたんじゃん!」

「だって…あたしの誕生日忘れてたじゃん。」

「それは、ごめん。いろいろあって…」

「いろいろって?」

「サプライズしよーと思ってたの!!」

「そんなの、分かんないよー…」

裕は、あたしの涙を拭いてくれた。

この日、初めて裕と喧嘩したんだ。

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