温空
数分、気まずい空気が流れた。

話し始めたのは裕だった。

「あのさ…」

「ん?」

「俺、隠してたんだよね。」

「何を?」

「俺、本当はあんなにいいやつじゃない。もっと、冷たくて…暴力的でさ…前の彼女とも浮気とか暴力が原因で別れてさ…」

「そーなんだ…」

「引いた?」

「ううん。」

「…なんか分かんねーけど、友梨亜にはバレたくねーって思った。」

「うん。」

あたしは、ただただ聴いていた。

裕が自分のこと話すことはあまりなかったから。

「俺な…最初は、お前のことどーでもよかった。」

「…うん。」

「でもさ…俺、女いなかったし? しょーがねーっていうか…だから、付き合ってた。」

裕が本音を話してくれて…胸が苦しくなった。

「最初はそんなんだったんだよねー…いつからだろ?お前のこと本気で好きになったの。ぜってー他のやつには渡したくないってそう…思ったんだよね。」

「裕……それ、今も?」

「ああ…友梨亜が好きだ。」

「裕。あたしも、大好きだよ。」

あたしたちは、何度も別れて…何度も付き合って…

訳分かんない恋人同士だけど……

どんなカップルよりも…

最高なカップルになれてるよね?

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