「どうして?なんで、裕が??」

雅也君が泣いた。

「ごめん。ずっと、黙ってて…」

雅也君は涙を拭いてから、話し始めた。

「前、倒れたことあったじゃん?それからなんだ。あいつの病気…。」

「病気…?」

「ああ……癌らしい。」

「が・癌…?」

雅也君は黙ってしまった。

それって…治るの?

また、裕の笑顔は見れるの?

「ごめん…」

雅也君は泣きながら謝った。

「なんで、雅也君が謝るの?」

「だって…俺…実は昨日からいるんだ。」

「昨日から…?」

「うん。友梨亜ちゃんに連絡しようとしたら、裕に止められて……」

「そーだったんだ…裕も、あたしに気い使ったのかな…」

涙が溢れてきた。

「あれっ…?もう、泣かないって決めたのに……」

止まらなかった。

「今日ぐらい、いいんじゃないかな…?」

携帯が鳴った。

マナーにしていないことに気がついた。

あたしは、小さい声で電話に出た。

「グズっ…はい。」

『友梨亜!何してんの!』

お母さんからだった。

「グズっ……」

『友梨亜…泣いてるの?』

「泣いてないよ…裕が倒れちゃって…しばらく、こっちにいてもいい?」

『裕君が?大丈夫なの??』

「分からない…。」

『そう。無理しないでね。ちゃんと連絡するのよ。』

「はい。」

そう言って、電話を切った。

こんなときのお母さんの声は…

すごく、すごく

心強かった。
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