裕に挨拶をして

裕に毎日話しかけて

裕の体を拭いて

こんな日々が1か月続いた。

ある日、あたしはいつものように

裕に話しかけた。

「今日はね、奈津が花を届けに来てくれたんだよ。きれいでしょ?」

『ピクッ』

裕の手が動いた。

裕……?

「裕…!?」

あたしは、すぐにナースコールを押した。

看護師さんやお医者さんが集まった。

裕の目がゆっくり開いた。

「裕…!」

「…友梨亜…」

こもった声だったけど、ちゃんと聞こえた。

「よかったねー!これで、友梨亜ちゃんも少しは安心だね。」

看護師さんたちはそう言って、病室を出た。

「裕……」

「何で来たの?」

「裕が倒れたって聞いて…雅也君呼ぼうか?」

「いいよ…学校あるだろうし。」

「そーだけど…」

あたしたちは、たくさん話した。

たくさん笑った。

裕の笑顔……

輝いてたよ。
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