甘の弱な君が好き【完】
もうパシリじゃない
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夏休みがあけて、学校が始まってから数日
あの日の帰り道は涙がこぼれないように、車内で寝たふりをすることに必死だった。
黄子ちゃんはことの事情を話したら、一緒に泣いてくれた。
もちろん夏休みが明けてから一度も応用室へは行っていない。北浜さんにも会ってない。
連絡もとっていない。
「藍先輩!」
放課後、学校から出て1人で帰り道を歩いていると聞き覚えのある声に呼び止められた。
「…青くん」
久しぶりにみる、笑顔いっぱいの姿
ぶんぶん私に手を振って、犬みたい。
「久しぶりっすね!今日も相変わらず可愛いです。好きです!」
霞のない、明るい声でそんなことを恥ずかしげもなくストレートに伝えてくる
夏休みの間会ってなかったから、ちょっと体制が落ちたのかドキッと反応してしまう。
「あははは、ありがとう」
「いーえ!そういえば橙真さんの別荘どうでした?」