甘の弱な君が好き【完】
自分で突き放したくせに、どこかで「こんにちは」って応用室の扉が開くんじゃないかって思ってる自分がいる。
ただただ楽しかったんだ。藍といるのが。
芸能界とか、アイドルとか、そんなしがらみが解けて、楽だった
「橙真さ、藍ちゃんとなんかあっただろ。夏休み明けたのに、応用室に藍ちゃんが来ないの
なんておかしいじゃん。」
楽屋で緑にそう突っ込まれて、思わず息を呑んだ。
そういえばずっとメンバー2人には告白されたことを言ってなかった。
理由は、いつまで経ってもあの日のことが頭の中で整理が出来なかったから。
だから、ずっと2人には話せないでいた。
ツアーで忙しいはずなのに、1秒でも時間が空けばあいつのことが思い浮かぶ。
寝る前も、起きた時も。
あいつはもう応用室には来ない。
俺が、傷つけて、拒絶したせいだ。