甘の弱な君が好き【完】
「橙真?」
だんまりを決める俺に、紫苑さんが異変を感じ取ったように覗き込む
黒いレザーの衣装がよく似合ってる。
「…パシリ、クビにした」
「え、どうして?!」
罰が悪そうな俺に、緑が大きい目を閉じたり開いたりを繰り返す
「……告白、されたんだよ」
「はぁ!?告白された!?」
うっせ…
辛うじて周りにスタッフはいなくてよかった。
「揶揄うつもりで言ったら、俺のこと好きだって」
本当に、ただ冗談のつもりで言ったんだ。
いつも通りの冗談。どうせ怒った顔して、『そんなわけない』と否定されると思ってた。
でも『ごめんなさい』って大きな目を揺らして、涙をこぼした藍。
本当に俺のこと好きだなんて微塵も思ってなかったから。
ありえないくらい心が痛くなって、目を逸らした。
嘘だって思いたかった。『冗談ですよ!好きなわけないじゃないですか』とか言って、笑ってくれると思ったのに。