甘の弱な君が好き【完】










やっと終わった。


なんで、俺が居残りなんて。


この後レッスンもあるのに、ちょっとの課題くらい見逃してくれてもいいのに。



廊下に差す西陽、歩きながら、前から歩いてくる人物に焦点を合わせる


「青、珍しいな。お前がこんな時間まで残ってるなんて」


前から歩いてきたのは青だった。


「待ってる人がいるんで」



いつの青とは違うオーラで、真剣な面持ち



待ってる人、か…



「藍か?」


他人を詮索することがない自分の口から思わず出た言葉にびっくりした


「だったらなんですか?」


まるで敵を見るかのようなその視線



こいつが藍のこと好きなのは知ってるけど、今までこんな態度取ってきたことなかったのに。



「いや、なんでもない。じゃあな。」


また痛む胸を無視して俺には関係ない、と頭の中で何度も唱えた



「待ってください」



隣を通り過ぎようとしたとき、手を掴まれた
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