甘の弱な君が好き【完】
「あのさ、藍ちゃん本当にこのままでいいの?」
少し気まずそうな黄子ちゃんの表情
「…え?」
「いや、藍ちゃんがいいならいいけど、最近ずっと辛そうだから。」
心配そうに卵焼きを口にして、柔らかく微笑んだ。
「黄子ちゃん…心配かけてごめんね」
確かに、諦めないといけないって分かってるのに、街中の広告やテレビで北浜さんを見かけるたび胸が痛いんだ。
芸能コースへ繋がる渡り廊下の入り口を通りかかるたび、駆け出して応用室へ行きたくなる。
昼休みは勝手に身体が動いて、食堂にパンを買いに行きそうになる。
もう、北浜さんのことで頭がいっぱいなの。
でも近づけない。もう会えないかもしれない。
こんなにも辛いなんて。
「ううん!私はいいんだよ。ただ、後悔しない?このまま一生話せないなんて。」
「……」
嫌だけど。もちろん北浜さんが私のことを好きなるはずがないし、パシリはクビになった。