甘の弱な君が好き【完】
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橙真side
マネージャーの車から降り、事務所に入って、リハーサル室へ向かう途中、
さっきのことを思い出す。
はぁ、あんなの反則だろ。
一寸の曇りもない笑顔、誰も跳ね除けること出来ねぇよ。
青の威嚇じみた牽制も、俺の自制心も、藍の笑顔には敵わないと悟った。
心が勝手に解けて行って、逆らえない。
藍の笑顔は人を簡単に狂わす。
俺の意思なんて弱い。
乱れる心を整えるように深呼吸して、リハーサル室の扉をあける。
「ごめん、遅くなった」
ストレッチをしていた緑と紫苑さんは優しく微笑んだ。
「藍ちゃんどうだった?」
緑も気になるみたいで心配そうに聞いてくる。
よく考えれば緑もくればよかったのに。俺にお見舞いに行くようにいったのは緑だし。