甘の弱な君が好き【完】
「熱は下がってるみたいで、まあ大丈夫そうだった」
「あの時の橙真の必死さったらないよね」
思い出したように笑う。
あの時は、自分でも嘘かと思うくらい必死だった。
「やっぱり藍ちゃんなんだよなぁ」
何かその先を言いたげな紫苑さんを横目にストレッチを開始する。
…今日は新曲の振り入れなのに、こんな藍の話ばっかりしてる場合なのか?
「ところで、仲直りはできたのか?」
「ちゃんと謝った。そしたら藍、俺のファンになるって」
まだスタッフや振付師が来ていないことを確認して、話を続けた。
「…健気だ」
あんぐりと口を開ける紫苑さん
「藍ちゃん…」
涙ぐんでいる緑
「そういえばそのリュック使い心地どう?」
緑が指差すのはこの前2人から貰った学校用のリュック
俺があの日リュック買えなかったから、見かねて2人が用意してくれたらしい。