甘の弱な君が好き【完】
コンサートをすればマイクを忘れてステージに立ち、取材では時間を間違えて遅刻寸前、テレビ番組に出ればカンペを読み間違えたり。
正直ずっと藍のことばかり考えていた。
心の蟠りが苦しかった。
紫苑さんも緑も俺がらしくないミスをするたび、なんでもない顔をしてフォローしてくれた。
藍への気持ちを隠し続ければ、自分がもっとダメになっていくんじゃないか。
「自分が幸せであり続けることが、輝く秘訣なんじゃなかったっけ?」
紫苑さんの言葉で俺がよくファンの人に公言しているこの考えに反していることに気づいた。
「っ…」
「橙真、そうでしょ?」
諭すように微笑む緑と紫苑さん
…俺って本当にいいメンバーを持ったよな。
「そうだな。」
決めた、もう誤魔化さない。
ちゃんと、藍に向き合って、
気持ちを伝えたい。
遠回りして、散々傷つけたから藍はもう俺のことなんてどうも思ってないかもしれないけど。
俺は藍が好きだ。