甘の弱な君が好き【完】
「っ、んだよそれ、」
胸が弾んで、言葉が詰まる。体が熱い。
やられた、完全に油断してた。
推しくれるって言ってたっけ。
『へへへへ』
嬉しそうに笑う声、表情も全て見たいと思うほどには惚れてるらしい
「あのさ、また…」
肺にいっぱい息を取り込んで話そうとすると、
「北浜さん、スタンバイお願いします」
番組スタッフに声をかけられて、タイムオーバー
「…藍、じゃあな」
『あっ、生放送ですよね!ご心配ありがとうございました。頑張ってください!』
…生放送の番組に出るって知ってるあたり、しっかり推し活してるな。
「っ、さんきゅ」
そう言って電話を切った。
可愛すぎるだろ、なんて頭を抱えていることはあいつは知らない。
藍にとってはもう俺の存在は推しに変わっていて、恋心がまだあるかなんて不明
踏み込んだことをいうタイミングも掴めない。
いや本当に掴めないのは踏み込む度胸だ。
また応用室にこいよ、って言葉は俺の度胸と、タイミングが邪魔をして言えなかった。
恋なんて始めてだから、どうしたらいいかも何もわかんねぇ。