甘の弱な君が好き【完】
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「橙真くんやっほー!」
マネージャーの送迎車から降りて家に入ろうとした時、茂みから現れたのは真白だった。
びっくりした…ストーカーかと思った。
不法侵入もいいところだ。
「…なんでいんだよ」
藍のことと、仕事終わりで疲れているせいでいつもみたいに取り繕った演技が出来ない。
そもそも車で2時間はかかる地方に住む真白がなんで東京に…
「んー?遊びに来たんだよ」
煌びやかにいつも通り笑う真白
「東京なんて何にもねぇぞ」
「そんなことないよ。都会だもん!」
それに橙真くんがいるし、なんて小さな呟きを俺は聞こえないふりをした。
「昔から来たがってたもんな」
「うん、念願なの!」
「まあ案内とかはしてやれねぇけど、楽しめよ」
俺は明日も学校終わって仕事だし、明後日は体育祭だしそんな余裕は1ミリもない。