甘の弱な君が好き【完】

コースが違う青くんとも会うわけがないし。


「やばいよねぇ」


潜めるようなその声が耳に入って顔を上げると、前から歩いてきたのは一年生らしき女子3人組


「芸能コースと絡むとか調子乗りすぎ」



「私の先輩と同じクラスらしい。クラスでも調子乗ってるらしいよ」




この話題って、絶対私のことだ。


学年が違う人たちにまで、話が広がってるなんて。


口々に不満の言葉が聞こえる。



「ねえ、顔知ってるの?」



「私は知らないけど、先輩曰く全然可愛くないらしいよ」



また胸が苦しい。


確実に縮まっていく距離に、逃げ場がない廊下。



「そのうちmoreのメンバーとか狙い始めるんじゃない?!」



「うわ、それは最悪ー!」



…そうだよね、最悪だよね。


甲高い笑い声が聞こえて、あともう少しですれ違う。



あと少しで私が濡れている異様な光景も気づかれるはず。
< 196 / 222 >

この作品をシェア

pagetop