甘の弱な君が好き【完】
コースが違う青くんとも会うわけがないし。
「やばいよねぇ」
潜めるようなその声が耳に入って顔を上げると、前から歩いてきたのは一年生らしき女子3人組
「芸能コースと絡むとか調子乗りすぎ」
「私の先輩と同じクラスらしい。クラスでも調子乗ってるらしいよ」
この話題って、絶対私のことだ。
学年が違う人たちにまで、話が広がってるなんて。
口々に不満の言葉が聞こえる。
「ねえ、顔知ってるの?」
「私は知らないけど、先輩曰く全然可愛くないらしいよ」
また胸が苦しい。
確実に縮まっていく距離に、逃げ場がない廊下。
「そのうちmoreのメンバーとか狙い始めるんじゃない?!」
「うわ、それは最悪ー!」
…そうだよね、最悪だよね。
甲高い笑い声が聞こえて、あともう少しですれ違う。
あと少しで私が濡れている異様な光景も気づかれるはず。