甘の弱な君が好き【完】
いや待てよ。この中に入れば、トップアイドルがいる。
知らなかったとはいえ、知ってしまった今どういう顔をしたらいいか分からない!
応用室の前でもたもたしていると、ガラッと扉が開いて、
「おっせえよ。何分待たせんだよ。」
制服を程よく着崩したイケメンアイドルが目の前に現れた。
身長の高い彼は、簡単に私のことを見下してその眼圧に頭が真っ白になる。
…昨日の表紙の笑顔とは大違い。こっちの性格がきっと彼の素なんだろう。
「す、すみません。」
ぺこっと軽く頭を下げると、無言で腕に収まる収穫物を攫われてしまう。
ありがとうくらい言ってよっ!
「え、橙真この子誰!?」
少し高めの声、金髪に近い茶髪でパーマのかかった髪型。顔の面積のほとんどが目なんじゃないかと思うほど大きな二重の瞳の可愛い男の子が奥に座っていた。
…この人も、昨日見た雑誌の中にいた人だ