甘の弱な君が好き【完】
アイドルが遠いとか、そんなことどうでもいいかもしれない。
ここにいる不器用な姿も、ステージで輝いている姿も全部本当の北浜さんだ。
「あっ、そういえばこれお守り、お待たせしました」
ひと針、ひと針いつも以上に心を込めて作ったお守り。
布の色は、北浜さんのメンバーカラーらしいオレンジ色にしたんだ。
差し出す手、北浜さんの手が伸びて来てゆっくり受け取る
「さんきゅう。これで残りのツアー頑張る」
あまりにも嬉しそうに微笑むものだから、愛おしさが込み上げる
「はい、頑張ってください!」
喜んでもらえてよかった。
私も笑って、北浜さんも笑っているこの瞬間がとっても幸せだ
「やっぱり藍は笑った顔が一番可愛いな。」
「へっ、」
…今、可愛いって
みるみるうちに赤くなって行ったのは、北浜さんの方だった
「ばっ、そう言う意味じゃねぇぞ!勘違いすんなよ!!今日の湿った顔より、ちょっとマシな気がしただけだ!!」
珍しく慌てふためくその態度に、笑いが止まらなかった。
好きだな、私
北浜さんのこと。
もう抜け出せないほど、好きになってる。