馨子ーkaorukoー
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「馨子、おいで」
お風呂から上がりたてのわたしをおじ様が優しい声音で呼ぶ。
「はい」
ここはふたりの寝室。
おじ様の趣向で、ベッドではなく、畳部屋にふかふかのお布団がふたつ並べて敷いてある。
わたしはおじ様が待っている鏡台の前にちょこんと座る。
おじ様とわたしのルーティンのひとつ。先にお風呂から上がったおじ様が、あとから上がったわたしの髪の毛をドライヤーで丁寧に乾かすこと。
おじ様のごつごつとした手指が優しく、とても優しくわたしの髪をふわふわと乾かしてくれる。この時間がたまらなく好き。
最初はごわごわだった髪の毛が、おじ様の愛情でこんなにもつやつやになって。
今では、自分のパーツのなかで一番誇れる部分だ。
気持ち良くて目を閉じていると「ヴィン…ッ」と、ドライヤーのスイッチを切る音がしてがっかりする。
でも、直後、
「馨子、シようか」
「っ!シます!シたいっ!!」
髪を乾かして貰うより楽しみなことっ!