馨子ーkaorukoー
すると今度は、男子からのセクハラ行為、女子からの妬みからくるいじめが始まった。
耐えかねた馨子は職員に助けを求めたが、あろうことかその中年の男の職員は、自分と関係を持てば助けてやると耳を疑う提案をしてきたのだ。
全てに絶望した馨子は16歳の時に養護施設を飛び出して、行くあてもなく街をさまよった。
そして、9年の月日が経ち、衣服もほぼ身につけていない状態でボロ雑巾のようにゴミ捨て場に『捨てられていた』馨子を西園寺が『偶然』見つけ、保護した。
そしてそこから西園寺は馨子の為だけにひたすら愛を注いだ。
最初は生きた屍のようだった馨子も、時が経つごとに人間らしさを取り戻していき、西園寺に拾われてから5年が経つ頃には今の馨子が出来上がっていた。
ただひとつだけ西園寺にとって懸念材料となったのは、馨子が性に対してとても奔放だということだった。
隙あらば西園寺の目を盗んでは行きずりの男と体を重ねてくるのだ。
それでいてケロッとした表情で帰って来ては、いつも子供のように西園寺に甘えてくる。