何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
2人の結婚式には、今は助産師となった親友のこころ、研修医の瞬、郁がいた施設の職員の佐藤、2人をよく知る病院のスタッフたち、そしてアメリカから駆けつけた碧の両親が参列し、2人の結婚を心から祝福した。

郁は、かすみ草の花冠をつけ、茶色がかった細い髪をゆるく編んでいる。

碧は気にしないでいいと言ったが、傷跡を隠したがった郁は、首元まで薄いレースで隠れるデザインのドレスを選んだ。

上品なデザインが一層引き立てる、華奢な体、透き通るような白い肌。

純白の長いベールを纏う郁を、まるで天使のような美しさだと碧は思った。

あまりの美しさと儚げな雰囲気に、参列者たちも息を飲んだ。

「あの郁ちゃんが…こんなに大きくなれるなんて…碧と結婚してくれるなんて…」

元主治医である碧の両親は、式の最中ずっと涙をこぼしていた。


碧がベールを上げると、少し頬を紅潮させた郁が恥ずかしそうに碧の瞳を見つめる。

そっと細い肩を抱く碧。
涙で濡れた長いまつげの郁の目がそっと閉じられ、2人は誓いのキスをした。



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