何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
妊娠4ヶ月。1ヶ月を超える長い入院を終え、つわりが治った郁が退院した。


「真田先生、どうもありがとうございました。」


「どういたしまして。まだ元の体重には戻ってないから、無理しないようにね。碧にたくさん甘えて。」


そう言われ、照れながら微笑む郁のお腹は、少し膨らみ始めている。

小さな痩せた体の母は、愛おしそうに何度もお腹を撫でていた。


「こころも、どうもありがとう。こころがいてくれて、とっても心強かったよ」

「いえいえ、検診も分娩の時も、安心してお任せください。」

こころが自信たっぷりにそう告げる。


そこに、入院生活で使った荷物を詰めたキャリーなど、たくさんの荷物を車に載せに行っていた碧が帰ってくる。


退院が決まってから、郁は1人でも退院できると言い張っていたが、どうしてもと懇願した碧の希望に合わせ、碧の休みの日に退院させてもらった。


「律、桃井さん、お世話になりました。本当にありがとう。また引き続きよろしくお願いします」


夫として、父として、郁が無事に退院できたことに感謝する碧だった。

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