何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
帰宅途中、車を運転しながら、碧は昨日律と話をしたことを思い出し、少し暗い顔をしていた。


─医局でコーヒーを飲みながら話している、碧と律。

「郁さん、かなり食事がとれるようになったとはいえ、やっぱりかなり体重が減ってるな。」


「あぁ。太れないのは元々の体質なんだが、これほど痩せてしまうとはな…」


少しやつれた碧が、暗い表情をしている。


「…俺が子供を持つことを認めてしまったから、今郁を苦しめてる。律たちにも迷惑をかけて申し訳ない」


「申し訳ないとか言うな。患者の病気を治して、夢を叶えさせてあげるのが俺たちの仕事だろ。そんな風に1人で背負い込むな。」


肩を叩く律。


「でも、妊娠中や出産直後は感染症が重症化しやすいから、注意が必要だな」


「そうだな…痩せてしまって体力も少ない上に、免疫抑制剤も服用しているから、より一層気をつけないと」


「幸い赤ちゃんはすくすく育ってくれているから、無事に生まれて来れるよう、チームで支えていこう」


「あぁ…ありがとう」



郁の妊娠をとても嬉しく思う反面、母体への負担や影響に、不安も感じている碧だった。


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