何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
第八章

発熱

「郁、咳が出てるから、今日は家で安静に寝てなよ。何かあったらすぐに電話すること。熱が出たら受診するように」


「そんなに心配しなくても大丈夫だよー。はい、これ。いってらっしゃい」


「ありがとう、いってきます」


大きく膨らんだお腹を、時折愛おしそうにさすりつつ、笑顔で碧にお弁当を手渡す郁と、そんな郁からお弁当を受け取り、手を振る碧だった。


碧が出発した後、生まれてくる子供のために、編み物をする郁だった。


郁は、胎動を感じるお腹を撫でる。


「あと少しで会えるねぇ。早くあなたに会いたいな」


お腹の子は、女の子だと言われていた。


「パパにね、あなたの名前は"ひなた"にしたいって言ったんだ。あなたがお腹にいることがわかった時、私とパパの気持ちを太陽みたいに照らしてくれた子だから」


「『いつか、ひなたと一緒に3人でピクニックして、ひなたぼっこしたいよ』ってパパに言ったら、パパは苦笑いしてたよ」



心からお腹の子を愛おしく思う郁だった。




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