何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
しばらく編み物に夢中になっていた郁だったが、昼頃から、咳が激しくなってきた。



「ゲホッ、ゲホッ…」



体温を測ると、38℃に発熱していた。


「うーん、やっぱり熱出てきちゃったか…大丈夫だとは思うけど、一応横になっておこう」


「あなたは大丈夫?苦しくない?お腹の中、暑くないかな?」


お腹を撫でると、元気な胎動を感じ、安心する郁。


編みかけの靴下をリビングに置き、郁は寝室のベッドに横になった。



「ゲホッ、ゲホッ…ごめんね。お母さん、体弱いねぇ。早く元気になるからね」



安静にしていても、時間が経つにつれ、だんだん激しくなる咳と上がる熱。



辺りが暗くなり始めた頃には、寒気と咳で郁は動けなくなってしまっていた。



「寒い…碧に…電話しないと…赤ちゃんが…ゲホッ、ゲホッ」


電話をかけようとするが、なかなか身体が思うように動かない。


息もだんだん苦しくなる。


お腹の赤ちゃんが苦しんでいないかが心配で、郁の目に涙がにじむ。


「私の体…頑張って…お願い…」


電話に手が届かないまま、意識が遠のいていく郁だった。






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