何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
次の日の晩。

郁は今日も相変わらず寝たり起きたりを繰り返しており、肺炎の状態も思わしくなかった。

そんな郁を、碧は一睡もせず見守っていた。

夜になってからは、郁の状態が少し落ち着き穏やかに眠っていたので、碧が一時帰宅し、郁の着替えを取りに行っていた。

編みかけの靴下が目に留まる。

「…早く退院して、靴下の続きを編まなきゃな、郁」

靴下を優しく握りしめながら、碧はそう口に出していた。



その時、碧の携帯電話が鳴った。

見ると、病院の電話番号が表示されており、碧は鼓動が早まるのを感じた。



「…はい、竹内です!」

慌ただしい声と電子音が後ろで飛び交う音が聞こえる。

瞬がうわずった声で話し始める。

「竹内先生!郁が急変しました。さきほど急に苦しみ始め、酸素を最大量で流していますが、酸素飽和度が下り続けていて、非常に危険な状態です!すぐに来てください!」

持って行こうとしていた大きな荷物を部屋に投げ捨て、一秒でも早く、という思いで郁の元へ駆けつける碧だった。
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