何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
「…おい!ダメだ!郁!戻ってこい!おい!郁!」

郁の名前を何度も何度も叫びながら、急いで心臓マッサージを始める碧。

「…先生!代わります!」

瞬は、いつもは冷静な碧の憔悴しきった姿を見ていることができず、白衣を脱ぎ捨て、心臓マッサージを交代する。

「郁ー!先生泣かせてんじゃねー!それにお前母親になるんだろ!戻ってこい!」


何回続けられただろうか。

郁のか細い胸が瞬の力強い圧迫によって潰される姿を見て、碧はつい、もうやめてくれと叫びたくなる。

郁は、何をされてもピクリとも動かず、体をベッドに預けている。

涙を止められないまま、自分が医師としてできることはもうないまま、様々な処置をされる郁を見守る碧。

蘇生に何の反応も示さない郁に、律が大声を出す。

「お腹の子も危険だ!緊急帝王切開を、いまここで行う!」


「…よろしく…お願いします… 」

今にも倒れそうな碧は、看護師によって、そっと病室の外のベンチに案内された。
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