夜華の先に
あと、5日泊めてくれたお礼も込めて、銀色の小さいピアスを買ったけど、それも渡せてない。

ピアスは好みとかわからなくて無難なやつを選んでしまったけど…

私はいつでも渡させるようにスウェットの入ったトートバッグとピアスを常時持ち歩いていた。



カランとドアが開いた音がした瞬間に私は「いらっしゃいませ」と、言った。

私は春休みから駅の近くに、あるカフェのウエイターとしてバイトをしている。

理由は、単にお金がないから。

今までは透がある程度生活できる分のお金をくれた。(大丈夫、いらないとは何回も言ったけど)


だけど、今はその透はいない。

自分でお金を貯めなくてはいけない。

「楓華ちゃん、5番テーブルにお願い」

「わかりました」

バイトはお客さんがたくさんいる時は人手が足りずバタバタすることが多いけど、基本的にいつもゆったりしている。

学校がある日は5時から9時まで働いて、学校がない日は朝から夜まで働いている。
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