夜華の先に
その時はほんとうにワクワクしていた。

自分に妹ができることを。



「お母さーん、明日の図工で「ちょっと黙ってて」


「今日の夕飯「自分でやれるでしょ」


「みてー!今日書道で「今、忙しいの」


「テストで…「わー!ふぅちゃん、よくできましたー」


「お父さん!公園連れ「2人で行ってこい」


まだ、楓華が小さいからしょうがないと、

しょうがないしょうがない


そう思っていた。  

だけど、楓華がどんなに大きくなっていっても、この状況が変わることはなかった。


楓華が小学一年生になることには話すら聞いてもらえなくて、家は、母親と父親、楓華だけの空間になっていた。


唯一喋れるのは楓華も一緒にいる夕飯の時だけ。

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