夜華の先に
だけど、部活の強い学校だったため、どうしても行きたかった。


「いいじゃない、」

母親はそう言いながら楓華の食べた食器を片付けた。

俺はここから遠いから出来るだけ高校にある寮に入りたかった。

だから、
「それで、寮に入りたいんだけど」そう言うと、今まで耳を傾けていなかった母親と父親、実の肩が上がったのがわかった。


「いいわよ」

それはとってもニコニコの母親の笑顔だった。


俺はそこから一生懸命勉強をした。

そこまで偏差値が高い高校だったわけじゃないけど、一年生から、部活ばっかで勉強なんて捨ててたから、たくさん勉強しないと入れなかった。


そして、高校一年生。

俺は晴れて第一志望の高校に合格することができ、あの家を離れた。

実は、県内1番の難関高校に入学したのだった。



俺は寮に入ってから、よく夢で実が母親と父親に殴られている光景が出てくることがある。

あの時のことをいまだに後悔しているのは確かだった。

今も、寮なんて行かなきゃよかった、あの家にいて、母親と父親を止めるべきだったのではないかと…

絶対に嫌な顔をされるけど一年に、一回は家に帰ろ、そう思った。

でも、部活に、初めての彼女やら楽しいことばっかで、酷いことに、あの家のことなんて忘れていて、3年間一回も家には行かなかった。



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