夜華の先に
「証拠もないくせに、何を言っているんですか、帰ってください。」

案の定、楓華には嫌な顔をされ、俺が兄弟だってことを信じてもらえず、

俺は家に帰ることにした。


楓華には「家の端っこにある父の書斎を見てみてください。その中に父の日記があると思うので」そう言った。

父の日記には俺や実、楓華のことが書いてあったはずだ。

それで、俺が楓華の兄であることを信じてもらえるといいけど…



家に着いたときにはもう、10時を回っていた。

家の玄関の鍵を開けて、靴を脱いで上がると、

「あ、おかえりなさーい」

と、彼女で結婚する予定の莉心(りこ)がリビングのドアから顔を出して言ってきた。

「ただいま」

「帰ってくるの早かったね」

なんて、言いながら俺の持っていたバックを取る。

「ありがと、楓華に兄だって信じてもらえなくて、返されちゃった」

と、言った。
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