年下彼氏は糖度が高め
プロローグ
年下の悪魔
廊下に見える栗色のくせ毛。
「先輩、一緒にかーえろ」
スラリと伸びる長い手足。
「…また教室まで来たの?」
「うん。早く先輩に会いたくて来ちゃった」
甘い声や言葉にルックス。
それら全てが彼の武器であり…
「…まだ?俺、先輩不足で死んじゃいそう」
時には鋭利な刃物と化す。
*
「っん……あ、ずま…っ」
「…なぁに、先輩」
「も…っ、むりっ…」
「…ヤダ、って言ったら?」
「っ、無理って言ってんでしょうが…!!」
ゴツンと鈍い音が放課後の教室に響き渡る。
「痛…何も殴ることないじゃん」
むくれてもなお綺麗な顔が、なんとも憎たらしい。
「あんたがやめないからでしょ…!」
「先輩が可愛いのが悪い」
こっ…こいつは本当に…。
かぁっと顔が熱くなるのが嫌でもわかって、怒りと羞恥でどうにかなりそう。
東都璃久、高校1年生の16歳。
「…ほら、またそうやって可愛い顔する。先輩のその顔、マジで理性吹っ飛ぶから」
「っ!!」
彼は私を弄ぶ、年下の悪魔みたいな彼氏だ。
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