最後に一言、君に言えたらよかった

集合時間まで時間があるから一度家に帰り、しっかりメイクを直す。

死んだ顔で彼の前に現れるわけにもいかないし、切り替えよう。

両手で頬をパチパチと軽く叩き、鏡に写る私を鼓舞する。

19時、私の大学では定番とされる居酒屋で打ち上げが行われた。

『おつかれ〜〜』
ガシャンガシャンと不規則にグラスの音が鳴る。

みなが思い思いに今日の感想を語る。

「もっとあーすればよかった」とか「〇〇が良かった〜」とか。

ちなみに私はお酒が飲めないため、ソフトドリンク全制覇挑戦女になっている。

理性が元気すぎていっそのことK君がベロベロになって看病させてくれないかなとか考えながら周りに話を合わせている。

時間が過ぎるにつれ実家勢がひと足先に、そろそろ帰るわーと帰って行く。

気がつけばK君を含む男女2人ずつの4人になっていた。

すると、もう1人の男子がK君にいう。

「あれ、Kって実家じゃなかったっけ?」

そうなんだ〜〜と思いながらグラスを口元までゆっくり近づける。

「実家、実家」

「帰らなくて大丈夫?」

「あーうん。彼女が一人暮らししてるから今日はそこに泊まろうと思って」

私はテーブルに置こうとしたグラスをもう一度口元に持っていった。

ソフトドリンクを飲んでいたはずのにビールのような味がした。

「彼女の家を宿代わりにするなよー」「違うって〜、せっかくだしみんなといろいろ話したかったからさ〜〜」とか言いながら男同士で戯れあっている姿を平然とした感じで見つめ、そこからだんだんと記憶がなくなり気がつけば翌日、自宅で1人着ていた服のまま目覚めた。
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