ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「私も、初めて会った日から、御鏡さんが好きです」

 心のもやが完全に消えていくのを感じながら、自分の想いをすんなり口にできた。彼の表情も嬉しそうにほころび、普段は見せない柔らかな笑みが浮かぶ。

 次の瞬間、手を引かれて彼の腕の中に閉じ込められた。耳元で「ありがとう」と安堵の声が聞こえる。

 ほのかに香る爽やかな匂い、見た目よりずっと逞しい身体……彼のすべてに包まれ、心臓がバクバクと騒がしくなる。

「み、御鏡さんっ……!」

 ひゃ~、抱きしめられている! ハグってこんなに緊張するものだったっけ? ……いや、たぶん御鏡さんほど好きになった人は初めてだからだ。

 しかも、なかなか離してくれない。こんな有名スポットでは絶対たくさんの人たちに注目されているに違いない。急激に恥ずかしくなってきて、腕の中でちょっぴりもがく。

「あの、私たちすごく見られて──」
「はー……しんどい。テキーラ一気はさすがに」

 ……ん? しんどい?

 御鏡さんの口から出てきたのは甘い言葉ではなかったので、一瞬ぽかんとした。

 もしかして酔っているんだろうか。とすると、これは……抱きしめているというより、私を支えにしている?

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