ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 長めのキスをした後、彼は私の頬を両手で包んで悦に入った表情を浮かべる。

「これでもう、俺のもの」

 うぅぅ、これ絶対お酒のせいだよね。酔った史悠さんの破壊力たるや、キュン死させられそうなんですが……。

 独占欲をかいま見せた彼は、再び求めるように唇を寄せる。

 最初は触れるだけ。徐々に唇をはむ、と優しく挟んだり、舌先で舐めたり、戯れるようなキスに変わっていく。

 濃密さが増してくると息が上がり、酸素を求めて少しだけ開いた唇から、するりと濡れた舌が入り込んできた。それは私の口内の性感帯を探るようにねっとりと動く。

 ……史悠さんのキス、すごく気持ちいい。唇からどろどろに溶けそうで、自然に声が漏れてしまうほど。

 初めての感覚に酔いしれていると、彼はリップ音を立てて唇を離した。すっかり惚けた顔をしているだろう私の髪を撫で、愛を乞うように熱く見つめる。

「依都の甘い声、もっと聞きたい。無垢な笑顔も、優しい心も全部好きだ。全部、可愛くて仕方ない」

 そう言って私に向ける微笑みも、触れる手やその言葉も、どれもが私にはもったいないくらい尊いもので悶えたくなる。

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