ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「あ……ッ! ん、待って……」
「依都……もっと愛させてくれ」

 ああ、やばい。耳元で囁かれる声だけでも理性が溶かされそうになる。好きな人から求められるのって、こんなに幸せで気持ちよくて、抗えなくなるものなんだ。

 もうこのまますべてを捧げてしまおうか……と降参しようとした時、急に彼の動きが止まり、私の横にドサッと倒れ込んだ。

「え、史悠さん!?」

 慌てて上体を起こして彼の様子を確認した私は、目が点になった。

「寝てる……」

 長いまつ毛を伏せ、とっても気持ちよさそうに寝息を立てている。ぽかんとしていた私は、子どもみたいな彼にぷっと噴き出した。

 最後までしなくてよかったけれど、火をつけられてしまったこの身体はどうしたらいいのやら。ほっとする反面、乱れた服を直していると残念な気持ちになる。もどかしさを抱いて私も隣に横たわった。

 ……綺麗な寝顔。この人の恋人になれたなんて、夢みたい。

 彼を眺めているとだんだん身体の火照りが治まってきた。こちらに投げ出された手に指を絡め、物思いに耽る。

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