ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
蜜月夫婦の危険日
……どうしよう。『いつか期待に応えたい』なんて言ってしまった。
安堵の笑みを浮かべる皆を見て、私は内心冷や汗を掻いていた。まだ子どもを作る覚悟はできていないのに、大層な宣言をしてしまった気がする。
史悠さんからプロポーズされた時、すごくすごく嬉しかったし、拒否する気はまったくなかったけれど、ひとつだけ気がかりなのが子どもについてだった。
彼は御曹司で、代々続く酒蔵の息子でもあるのだから、きっと跡取りが必要なのではないか。私が子どもを産むのが必須条件だとしたら問題だ。
そう懸念して確認してみると、彼がくれたのは『たとえ子どもができなかったとしても、俺は君を選んだことを後悔しない』という寛大な言葉。
その優しさに甘えて、もしかしたらふたりきりで生きていけるかもしれないと淡い希望を抱いてしまった。
しかし、やはり皆子供を望んでいるのだと実感すると、自分だけのわがままを通すわけにはいかないと悟ったのだ。
ただ、嫌々答えたわけではない。どちらかと言うと前向きな気持ちだ。
祖父はやっぱり私に家族ができたら嬉しいんだなとわかって、安心してもらうためにも頑張らなきゃと思った。
さらに叶芽さんの話を聞いて、史悠さんも本当は子供が欲しいかもしれないと感じ、彼にわが子を抱かせてあげたくなったのだ。