ドＳな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい～子づくりは溺愛のあとで～

　獲物を追い詰めるような瞳に捉えられ、背筋がぞくりとした。なにもやましいことはしていないのに逃げたくなってくる。

　早く誤解を解こうと「あの、それは……！」と言いかけた私は、彼の表情が徐々に憂いを帯びていくのに気づいて目を見張った。

「こうやって、信じているのに不安になる……。君も同じなんだろ」

　少しだけ和らいだ口調で言われ、はっとした。先ほどの『人のことは言えない』という意味がわかって、胸が締めつけられる。私も彼も、ただ不安なだけなのだ。

　顎から離された手を、今度は私がそっと握る。

「嫌な思いをさせてごめんなさい。ちゃんと話します、昨日のこと」

　隠していたこともすべて打ち明けようと、しっかり目を合わせて告げた。


　ほんのり暖かいリビングに入り、お互いにコートを脱いでソファに腰を下ろした。

　まずは凛くんといたことの弁明をする。子ども食堂は彼がボランティアをしていて、それに私がくっついていった形なのだと説明した。凛くんがいると言わなかったのには、本当にたいした意味はないので謝るしかない。

　そして、ここからが本題。私は小さく深呼吸してから口を開く。