ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「私、実はずっと赤ちゃんや子どもが苦手でした。私も母みたいに、もし自分の子を愛せなかったらと思うと怖くて。子ども食堂に行ったのは、その苦手意識をなくしたかったからなんです」

 そこまで明かすと、史悠さんはなにかに気づいた様子で私の顔を覗き込む。

「もしかして、避妊したがっていたのはそのせいだったのか?」
「……はい」

 隠していた後ろめたさから、俯き気味に答えた。『まだふたりでいたい』と言ったのは本音だが、その延長線上にあるのは子どもが欲しくないという理由だったから。

「でも、お互いの家族に会ってからだんだん気持ちが変わってきて、史悠さんと家族を作りたいって思いました。史悠さんとの子なら愛せるはずだから、母親になるために頑張ってみたくなったんです」

 前向きな心を表すように顔を上げたものの、史悠さんの表情は浮かない。心配と憐みが交ざったような瞳で私を見てくる。

「……それは、俺の実家で跡取りの話をされたから? 無理してるんじゃないのか」

 また誤解させてしまいそうになり、私はすぐさま首を横に振る。

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