ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「……薄情な女だなんて思うわけないだろ。それよりも、他の男と親密そうにしているのを見たり、君が悩んでいることを知らなかったことのほうがショックだ」

 呆れとイラ立ちが交ざったような声が、胸にグサリと刺さる。彼の言うことはもっともだし、怒って当然だと肩を落とした。

 ところが、俯いていた私の頬にそっと手をあてがわれる。その手が思いのほか優しくて、私はそろそろと目線を上げていく。

 史悠さんは、切なさが入り交じった真剣な瞳で私を見つめていた。

「いくら君を想っていたって、すべてを理解するには限界がある。だから、これからはなんでも話してくれ。俺はどんな君を知っても幻滅したりしないから」

 諭すように言われ、彼の心の広さに胸がじんとした。

 想い合っていても、話さなければ伝わらない。それは当たり前なのにできていない時も多いことだから、忘れないようにしていかなければ。

「はい。約束します」

 目を見つめてしっかり頷くと、史悠さんの口元もわずかに緩んだ。しかし、すぐに硬い表情に戻って「ただ」と続ける。

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