ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~

 翌日の昼、ランチの営業時間が終わる前のしいじに足を運んだ。依都に伝えてあったので、皆驚きもせず喜んで迎えてくれた。

 あれから依都とはなんとなくよそよそしくなっていて、わだかまりがある状態だ。俺は凛太朗くんの件で自分が納得できておらず、依都は風柳千笑のことが気がかりなせいだろう。まずは俺自身の問題を解決させる。

 昼の営業を終えて店を閉める頃、凛太朗くんに「少しだけ、ふたりで話をしてもいいですか?」と尋ねてみた。彼は怪訝そうにしていたものの、一応承諾して誰もいない個室へと俺を促した。

 向かい合って座ると、凛太朗くんは居心地が悪そうに頭を掻いて切り出す。

「なんですか? 話って」
「先日、依都とあなたがふたりでいるところを見た人がいましてね。これが送られてきたので、さすがに物申したくなって」

 スマホのディスプレイを向け、波多野が撮った写真を見せた。ギョッとした様子の彼に、淡々と言い放つ。

「そんなに依都が好きなら、いっそ告白してください」

 俺の突拍子もない言葉に、凛太朗くんは目を見開いた。彼女の夫がそんなことを言うなんて、そりゃあ意味がわからないだろうな。

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