ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 彼女にとっては、この式に参列するのにも勇気がいっただろう。それでも来てくれたことが嬉しいし、感無量な様子の祖父を見ていると、もう一度親子としてやり直すことを決めてよかったと思う。

 神前式は滞りなく終わり、私たち夫婦はひと足先に退場した。清々しい青空の下、やっと緊張を解いて史悠さんに意味ありげな瞳を向けると、彼もこちらを見下ろす。

「心配しなくても、あれだけじゃ酔わない」

 私が聞く前に余裕そうに返したので、思わず笑ってしまった。一緒にいるうちに、お互いに考えていることがなんとなくわかるようになってきている。

「この後の披露宴でも飲まされないようにね」
「わかってる。俺が甘くなるのは、依都の前でだけって決めてるから」

 嬉しいことを言う彼はこちらに向き直り、ほんのり熱い視線で私を捉える。

「綺麗だ、すごく」
「史悠さんこそ、世界一素敵」

 甘い言葉を紡がれてくすぐったい気分になり、私は照れ笑いを浮かべて褒め返した。

 彼は綿帽子の隙間から私の頬に触れ、真顔で呟く。

「どうしてこんなに可愛いんだ、君は」
「史悠さんが愛してくれてるからよ」

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