ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
祖父は明るい表情で、着慣れないブラックスーツに袖を通した腕を組む。
「結婚生活はまだまだこれからだからな。依都の幸せな顔をもっとたくさん見てからじゃないと死ねねぇや。なあ、眞由」
あけっぴろげにセンシティブな話を振る祖父に、若干ハラハラしたのは一瞬だった。母も肩の力を抜いた笑顔を見せて頷く。
「そうね。生きる楽しみが増えたから頑張れるわ」
前向きになった母にほっとして、私も口元を緩める。「元気でいてね、ふたりとも」と切実に告げた。
これから集合写真を撮るため皆でしばし待っていると、聞き慣れた可愛い声がする。
「ちょ、りんたろさん泣いてんの?」
そう聞こえてきたので振り向くと、俯いて顔を逸らす凛くんを雫が何度も覗き込もうとしていた。
伯父さんたちは和やかに笑っているけれど、凛くんは私たちの式に感動してくれたのだろう。本当にお兄ちゃんみたいだ。
そのうち凛くんは天を仰ぎ、そのまま瞬きを繰り返して言う。
「泣いてねーし。花粉症だし」
「子どもか」
すかさずツッコんだ雫は、凛くんにハンカチを押しつけて私のそばにやってくる。
「結婚生活はまだまだこれからだからな。依都の幸せな顔をもっとたくさん見てからじゃないと死ねねぇや。なあ、眞由」
あけっぴろげにセンシティブな話を振る祖父に、若干ハラハラしたのは一瞬だった。母も肩の力を抜いた笑顔を見せて頷く。
「そうね。生きる楽しみが増えたから頑張れるわ」
前向きになった母にほっとして、私も口元を緩める。「元気でいてね、ふたりとも」と切実に告げた。
これから集合写真を撮るため皆でしばし待っていると、聞き慣れた可愛い声がする。
「ちょ、りんたろさん泣いてんの?」
そう聞こえてきたので振り向くと、俯いて顔を逸らす凛くんを雫が何度も覗き込もうとしていた。
伯父さんたちは和やかに笑っているけれど、凛くんは私たちの式に感動してくれたのだろう。本当にお兄ちゃんみたいだ。
そのうち凛くんは天を仰ぎ、そのまま瞬きを繰り返して言う。
「泣いてねーし。花粉症だし」
「子どもか」
すかさずツッコんだ雫は、凛くんにハンカチを押しつけて私のそばにやってくる。