ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 ダスティピンクのパーティードレスに、今日は上品なメイクをしていて別人みたいだ。大人っぽくてとても可愛い。

「依都ちゃん、本当におめでとう! もうめっちゃ綺麗~エモい~尊い~」
「俺の分まで幸せになってくれ……」

 自分のことのように喜んで祝福してくれる雫は、鼻の頭を赤くして言う凛くんに「死ぬのかよ」とまたツッコむ。いつも笑わせてくれるふたりには感謝でいっぱいだ。

「ありがとう。今の言葉、ふたりにそっくりそのまま返すよ」

 できれば、ふたりがくっついて幸せになってほしいな。と、心の中で密かにつけ加える。

 私が結婚して以来、凛くんは少し離れたところから見守るような態度になってきた。逆に、私に向けていた過保護さが、すっかりしいじの一員になった雫に向けられているように感じる。

 いつもの軽口を叩きながらも、時々意識しているっぽい態度を取ったり、愛しそうな目をしていたりするのがわかるのだ。

 それは雫も同じ。むしろ彼女のほうが、凛くんのことが好きなんだなと感じる時が多い。

 きっと、一緒に働き始めてお互いの知らない部分が見えてきたからなのだろう。尊敬できるところを知ったり、悩みを相談し合ったりして、恋愛感情が動き出すのはなにも不思議なことではない。

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