ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 そこで「準備が整いましたので記念撮影を行います」と声がかかり、凛くんたちはまた言い合いながら撮影場所に向かっていく。

 くっつくのも時間の問題かな、と微笑ましげに見ていると、史悠さんが同じ方向に目をやって言う。

「凛太朗くん、依都から離れてやっと新しい恋ができそうか」
「うん。私がお邪魔虫だったんだって気づいた。凛くんに悪いことしちゃったかも」

 苦笑いすると、史悠さんはなぜか気の毒そうな顔で凛くんと私を交互に見て呟く。

「……そうだな。依都の鈍感さは罪深い」
「え」

 私、そんなに罪なことしたっけ?とややギョッとするも、史悠さんはクスッと笑って手を差し出す。よくわからないままだが、とりあえず手を取って私たちも歩き出した。

 全員が綺麗に並び、私の隣には母がやってくる。

 再会してから今日までに何度も電話でやり取りをして、ぎこちなさはなくなっている。

 幼い頃の記憶にあるギスギスした感じはまったくなく、こんなに優しかったのかと驚くくらい彼女は穏やかで、これが本来の母なのだと悟った。

 今では、普通の親子の会話をするのが楽しくなってきた。遅くなったけれど、母に甘えてみてもいいだろうか。

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