ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「えっ、やっぱり社長!?」
「チッ」
「俺を見て舌打ちしない」
どうやら知り合いだったらしく、運転手の男性は路肩に車を停めて降りてきた。さらっとした髪に、少年っぽさが残る愛嬌のある顔立ちの彼は、驚いた様子で私たちをまじまじと見ている。
「社長がプライベートで女性とふたりで会ってるなんて。天変地異の前触れ……?」
「うるさい」
顔をしかめる御鏡さんに一蹴されてもまったく気にしない爽やかなイケメンさんは、私ににこっと微笑みかける。
「どうも。僕は御鏡酒造の専務兼社長のお世話係をしております、波多野と申します」
「専務……! 花菱依都です。はじめまして」
会社の方だったとわかって無意識に背筋を伸ばし、しっかり挨拶を返した。御鏡さんは「世話係だと?」とぼやいているが、波多野さんはやっぱり聞いていない素振りで言う。
「お帰りでしたら家までお送りしますよ」
「別にいい──」
「あっ、この後おふたりでアバンチュールな場所に行かれるのなら遠慮しておきますが」
「送ってくれ」
食い気味に意見を変えた御鏡さんは、さりげなく私の背中に手を当てて車に乗るよう促す。アバンチュールな場所って?と頭の中にハテナマークを浮かべながらも、促されるまま後部座席に乗り込んだ。
「チッ」
「俺を見て舌打ちしない」
どうやら知り合いだったらしく、運転手の男性は路肩に車を停めて降りてきた。さらっとした髪に、少年っぽさが残る愛嬌のある顔立ちの彼は、驚いた様子で私たちをまじまじと見ている。
「社長がプライベートで女性とふたりで会ってるなんて。天変地異の前触れ……?」
「うるさい」
顔をしかめる御鏡さんに一蹴されてもまったく気にしない爽やかなイケメンさんは、私ににこっと微笑みかける。
「どうも。僕は御鏡酒造の専務兼社長のお世話係をしております、波多野と申します」
「専務……! 花菱依都です。はじめまして」
会社の方だったとわかって無意識に背筋を伸ばし、しっかり挨拶を返した。御鏡さんは「世話係だと?」とぼやいているが、波多野さんはやっぱり聞いていない素振りで言う。
「お帰りでしたら家までお送りしますよ」
「別にいい──」
「あっ、この後おふたりでアバンチュールな場所に行かれるのなら遠慮しておきますが」
「送ってくれ」
食い気味に意見を変えた御鏡さんは、さりげなく私の背中に手を当てて車に乗るよう促す。アバンチュールな場所って?と頭の中にハテナマークを浮かべながらも、促されるまま後部座席に乗り込んだ。