ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 温かな声色で「おめでとう」と言われ、胸が一杯になる。新家の皆や雫に言われるのとは、また違った感覚だ。

「ありがとうございます……! すごく嬉しい。最高の誕生日です」
「ほんの気持ちだぞ」
「それが嬉しいんですよ、なによりも」

 喜びを隠せない笑顔で、彼と目を合わせる。彼に笑みはなくてもこちらを見つめる表情はとても綺麗で、鬼なんかには見えない。少なくとも、私には。

「……最初で最後にしたくない、です」

 私の口からは、自然にそんな言葉がこぼれていた。

 また会いたい。もっともっと知りたい。御鏡さんへの、単なる好奇心よりも強くて大きな気持ちが膨れていく。

「するつもりはない」

 彼は真剣な眼差しで、短くそう返した。私と同じように思ってくれているのだと解釈していいんだろうか。

 これで終わりではないと明言してもらえて、胸が高鳴るのを感じていた。

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