ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「ピュアにいちゃつかないでくださいよ。普段皆をビビらせまくってる社長が甘くなってる姿を見るの、なんかむず痒いし」
「は?」

 まったくいちゃついていないし甘くなってもいないだろうが、と眉根を寄せる。まあ、依都さんを特別な女性として扱っている自覚はあるが。

 俺のふたつ下の二十九歳で、専務を務める波多野との付き合いはそこまで長くはない。四年前に俺が本社ビルを立ち上げた時に転職してきた男で、当時一番熱心に意欲を語っていたのが彼だった。

 実力も申し分なく、より密に俺のサポートをしてもらいたくて実質ナンバーツーの座を与えた。

 俺に対しても、妙に下手に出たりおだてたりすることもなく、意見もはっきり言ってくれる。互いに気を遣わず、信頼し合っているのが実感できる貴重な存在である。

 だから今も歯に衣着せぬ物言いをしているのだが、若干気味悪そうに見てくるのはやめてほしい。俺が女性と親密にしているのがそんなに珍しいのか。

 俺は仏頂面のまま、ぶっきらぼうに言う。

< 45 / 249 >

この作品をシェア

pagetop